【書籍紹介】五味太郎/「そういうことなんだ」

読書

子ども達が小さなころにたくさんお世話になった「きんぎょがにげた」など五味太郎さんの絵本たち。
先日、本屋で五味太郎さんが特集されていたので自分用に購入したのが、
今回ご紹介する「そういうことなんだ」という本です。

本作は1997年に刊行されたエッセイ集です。
この度、多少の加筆修正とアートディレクターの祖父江慎さんの装丁で復刻し話題を呼びました。

まえがきにある、
”なんとなく複雑な世の中です。なんだか難しそうな世界です。
とはいえ、複雑にしているのも難しくしているのも、なにはともあれ人間です。”

という文章があまりにシニカルで思わず手に取った1冊です。

五味太郎さんの感じたことが見開きで読めるくらいの短い文章で52本掲載されています。
ユーモアあふれる視点で笑わせられるものから、ハッとさせられるような言葉もあり、
生きていくうえでの様々な気づきが得られました。

”考える、ということは、整理する、という意味です。”
まえがきにもありましたが、なんだか複雑で難しくしているのは私達自身で、
よくわからなくなったら、整理すればいいと。
考えるという事は、今あるものの中から答えを出すということで、
わからないことを考えていても整理のしようがないので仕方がないと思えば、
悩んでいるのが馬鹿らしく思えてきました。

”なにもしていないというわけではありません。ボーッとしているのです。”
ボーッとすることって最近していなかったように思います。
すぐそばにたくさんの情報があふれかえっていて、ついなんとなくSNSを眺めている…
それならボーッとする時間があったほうが自由で充実していそうだと思いました。
ボーッとすること自体が難しい世の中なのかもしれませんね。

皮肉とユーモアのエッセイでもあり、ゆるい哲学的に読み進めることもできます。
普段自分では持ち合わせない観点から物事を見たいと思う方にはかなりおススメです。
皮肉が厳しい部分もあるので、他人の考え方に大きく左右されてしまうような気持の時には
あまりおススメしませんので、ご注意ください。

私はこの本を読んでみて、もっとのんびり生きていいんだなと肩の力が抜けました。
スピードの速い現代ですが、この本のように自分の感じたことを自由にさせてあげられるように、
そんな考え方もあるのかと受け入れ、それはそれとして自分の自由な感性を大切にしたくなりました。

子ども向けの絵本で知られる五味太郎さんですが、本作は大人向けの世界を解剖した本です。
日常の感じ方を少し変えたいと思う方はぜひ手に取って読んでみてください。
きっと今とは違う世界を生きられるようになるはずです。

そういうことなんだ [ 五味 太郎 ]

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